アナログプレーヤーを購入したので、家にあるLPをアーティストごとにアルファベット順で聞き直してみるというシリーズ。第24 回目は濃密なレゲエの最高峰、バーニング・スピアー。
■マーカス・ガーヴェイ(1975年)
このタイトル曲があまりにも有名。
呪術を聞いているかのように聞こえるウィンストン・ロドニーの歌声は、終盤になるにつれて熱を帯びてくる。
淡々と刻まれるリズムに引きずるようなホーンセクション。特に、間奏部分の緊張感が凄い。
ベースはロビー・シェイクスピアとアストン・バレット(この曲はどちらか不明)、ドラムはスライ・ダンバーかと思っていたらリロイ “ホースマウス” ウォレスだった。
余談ながら、リロイ・ウォレスが主演の「ロッカーズ」という映画を原宿ラフォーレで見た事がある。内容は全く覚えていないけど、リロイ・ウォレスがやたらとTシャツを着替えるシーンをやけに覚えている。検索してみたら、この映画にはウィンストン・ロドニーも出演していたのですね。1979年か1980年の事だから、すっかり忘れていた。
「マーカス・ガーヴェイ」とは、ジャマイカで戦前に活動していた民族主義指導者で、アフリカ回帰運動の提唱者の名前。ラスタファリズムでは預言者として崇められている存在だけど、ガーヴェイ本人はラスタとは無関係だったようです。
このアルバムタイトルからもわかる通り、アルバム全体が歴史やラスタファリニズムに題材をとった作品となっていて、テーマ的には非常に重いものがあります。でも、そんな事を知らなくても聞きごたえのある作品に変わりはありません。
「奴隷だった日々の事を覚えているか」と繰り返し歌われる「Slavery Days」も名唱、名演。後にサード・ワールドのファーストアルバムでもカバーされていました。
やはり70年代のレゲエを代表する1枚だと思います。しかしながら、ボブ・マーリーやジミー・クリフのように普遍的な人間愛を歌う曲が無い事が、ポピュラーな存在になれなかった要因にも思えます。
さて、これでようやくBが終了(David Byrneのソロを持っていたはずなのに見当たりません)、次回からCのアーティストに移ります。ここはまた、ロックやソウル、R&B、ジャズ、レゲエの大物からAOR、サンバと盛り沢山です。