チーボーのブログ

主にライブに行った記録(まちだガールズ・クワイア、NaNoMoRaL、THE ORGANICS、スパンコールグッドタイムズ、CHiLi GiRLなど)

1983年9月 エンケン・オムライス・ナイト@渋谷Egg-man

遠藤賢司「オムライス」は、1983年に45回転(死語だね)6曲入り1,500円で発売されたミニアルバム。キーボードと編曲で細野晴臣、キーボードとコーラスで越美晴が参加。タイトル曲の「オムライス」は、タンゴ風の曲調に沖縄調のコーラスが入る。他はアンビエントというのかな、音数の少ない静かなサウンドに乗せてエンケンが裏声で歌うという異色作。でも私、このアルバム大好きなんですね。特にハインラインの「ポディの宇宙旅行」にインスパイアされたという「ポドケインの白い花」なんて、たまりません。

「おぼえているかいねぇ ポドケイン この緑の丘を 笑いながら 君と走った ほら あの日の午後を」
「まるで あの日の君のような 白い花 みつけた」

さて、このアルバムの発表を記念して、豪華ゲストを迎えて行われたのがこのライブ。覚えている限りでは、アルバムに参加した細野晴臣越美晴のほかに尾崎亜美、平山三紀、藤村美樹キャンディーズの)など。ライブとしては、多少散漫な印象は残ったけど、それもエンケンさんらしいといえばらしかったと思う。

オープニングはカラオケをバックにひとりで歌う「宇宙防衛軍」。「ショイ!ショイ!」のコールも楽しい。間奏では床に転げまわったり、銃を撃つ仕草をしたり、全力で宇宙防衛軍になりきる姿が美しい。
細野晴臣越美晴を従えた「オムライス」、その他のアルバム曲は生でファルセットを聞かせる。もちろん、ギター引き語りによるお馴染みのナンバーも。そして、エレキギターの演奏が延々と続いた「エンヤトット」(これ、歌詞はエンヤトットだけだったと思う)。あれもエンケン、これもエンケン。遠い記憶をたどっただけでも、あらゆるエンケンの姿が思い起こされてくる。

尾崎亜美の「オリビアを聴きながら」をピアノ引き語りで聞けたのも、今思うと悶絶もの。平山三紀は「真夏の出来事」を歌う。横で踊りながら手拍子をしていたエンケンが可愛かった。藤村美樹は、歌ではなくて猫について語るトークショーのゲストとしての参加。確か「みきちゃんず」とかいって、平山三紀ともうひとりみきちゃんがいたと思うのですが、誰だったか思い出せない。平山三紀は、エンケンとの「哀愁の東京タワー」で、ムードいっぱいのデュエットも聞かせてくれたはず。

本当に貴重なライブ体験だった。

この後、2010年の3月までライブはご無沙汰してしまう。26年半ぶりに見たエンケンさんは老いて丸くなるなんて事はまったくなく、いつもステージに命をかけているかのごとく全力で闘っていた。2010年に3回、2012年、13年、14年が各1回。先日も書いたけど、もう1回、せめてもう一度ライブの姿に接したかった。

僕のエンケンに対する思いは、例えばアルバム「東京ワッショイ」についてのこの日記にも書いたとおりです。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1888948687&owner_id=24615039

年末に買ったユリイカエンケン特集が素晴らしくて、寄稿者それぞれが色々な思いを綴っているのだけど、中でも特に印象に残ったのが湯川潮音さんの文章。
潮音ちゃんの体調が悪いのを心配したエンケンさんから、エレキギターを鳴らすのはパワーがみなぎり電気治療になるからと誘われて、爆音対決をしたというエピソードが、エンケンさんらしくてとても好き。そういえばツイッターで見た覚えがあるなと思っていたら、ありました。
https://twitter.com/shione_y_info/status/852469728610091008

近年に見たライブの中でも、潮音ちゃんとのツーマンはとても心に残っている。
最後にそのリンクを貼って、このとりとめのない日記を終わりたいと思います。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1905982766&owner_id=24615039

エンケンさんの純音楽は、湯川潮音曽我部恵一や、その他多くのミュージシャンに受け継がれていくのだろうと思う。フィロのスのプロデューサーである加茂さんも、中3の時にエンケンに出会ったことが現在に繋がっていると書いていた。

「テメエも俺いらも『言音一致の純音楽家』」と、エンケンは言う。
自分も、自分のリズムを刻み続けて生きていく所存。

湯川潮音/裸の王様
https://youtu.be/tFRSHhtH358

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