ONEMAN TOUR “OSU” TOUR FINAL 『PEONY』
開場 18:30 開演 19:00 3,500円+D600円
雨降る道玄坂を急ぎ足で歩き、ファミリーマートの角を右に曲がる。
O-EASTにたどり着いた時には、すでに開演時間の19時を15分ほど回っていた。
「もう始まっているかなあ」
人気の無いエントランスで折りたたみ傘をたたんでいる時、視界の隅に一人で立っている女性の姿が見えた。
何となく目が合ってしまった。
「どこかで見たような・・・あれ、めいちゃんに似てる?・・・いや、めいちゃんだ。」
そこに立っていたのは、「一瞬しかない」の、めいちゃんだった。
「あ、ああ、、」
情けない事に、ちゃんとした挨拶ができない。
マネージャーさんと待ち合わせしていたらしいのだけど、あまりに思いがけなかったので頭が混乱してしまった。
nuanceのワンマンには、いつも現実離れしたような非日常的な感覚を覚えてしまうのだけど、今回は始まる前からドラマのワンシーンに迷い込んでしまったような不思議な気分になってしまった。
感染症対策として非接触型の体温計で体温チェックを受け、水のペットボトルを受け取り、入場する。
よかった。まだnuanceは登場していない。
ステージ上に4体のマネキンが見える。
場内を見渡すと、さすがに昨年よりも人が入っている。
フロア後方に場所を落ち着けたちょうどその時、劇団鹿殺しの2人の合図により、ステージに薄いスクリーンが降ろされる。
スクリーン越しに、バンドのメンバーが入場する。
一瞬、ステージが暗転する。
暗闇の中「wish」のイントロが奏でられ、再び照明が灯された時には、マネキンに代わってnuanceの4人の姿がステージ上に現れていた。
赤い新衣装。
薄いスクリーンの向こうで歌い踊るnuanceの姿が幻想的に見える。
スクリーンに投影された光と影の美しさ。
曲の終わりには、この公演のキャストとタイトルバックが映し出される。
「はあー」
この、してやられた感。
そして「tomodachi」からの「bye bye」で、いきなりトップギアに入ったかのような熱いステージに切り替わる。
5曲目には早くも「ハーバームーン」、続いて「ヒューマナイズド・ヒューマノイド」。nuanceのラップは上品さと力強さを併せ持っている。
前半戦のハイライトは「Which's Witch」。
ひと通り歌い終わったかと思ったら、「ワンツースリーフォー」の合図とともにバンドが切り替わってロック調にアレンジされた「Which's Witch」が再び始まる。
スタンドマイクに向かって熱唱する4人がロックバンドのボーカリストみたいだった。
すごい、こんなに力強いnuanceを見たのは初めて。フロアも大騒ぎだ。
スタンドマイクに飾られていた花は、公演タイトルにちなんでPIONY(牡丹)なのかな?
「決して」のシャウトで、音が止まり光が消える。
いやー、痺れる。
intaerludeでは、4人がそれぞれの「これまでの自分とこれからの自分」を語った映像がステージ後方のスクリーンに映される。
こんな演出をはさんできた事には少し驚いたけど、短くコンパクトにまとめられている所が良かったと思う。
そこから、この流れで「Love chocolate?」ですよ。もう胸がいっぱいになってしまうではありませんか。
「セツナシンドローム」、2年前のO-WESTでnuance史上初めてバンドで歌われたのがこの曲だった。あの時は2バンド編成に面食らったものだったけど、もうそんなの当たり前になってしまっていることに驚かされる。
「sanzan」ではMIXやコールだけでなく、リフトまで上がる。東京ではちょっと見た事のない光景だった。この曲で踊っているドラムのUさんが好きです。
「I know power」、この曲もめちゃくちゃ楽しいと思います、ます、ます。この曲のサウンドは大好物です。振り付けも大好きです。
鹿殺しの2人も椅子の上で踊っている。
本当に、愛のパワーを浴びた感じがした。
「ミライサーカス」からの「タイムマジックロンリー」でめちゃくちゃ盛り上がった後は、「雨粒」の美しさに酔いしれた。
ここで初めてのMCの後、「きっといつか」。
港を出航して、外へ外へ開いていくイメージ。新しい世界への船出を象徴するような曲。
でも、最近の宗像さんによるインタビューでも語られていたように、この曲のAメロ部分の歌詞はかなりネガティブな内容になっている。
何でもかんでも感情的に散らかして
周りの人を困らせて
結局いつでも悩みは変わらず最終的に
自分の事を責めてしまう
そうか、これはもしかしたら幕間に映された動画でメンバーが語っていた事とリンクしているのではないだろうか。
「これまでの私は××でした。でもこれからは○○になりたいです。」
今回のワンマンもまた、4人の成長物語がテーマになっていたのではないだろうか。
そんな事を感じた。
鳴りやまないアンコールの拍手に応えてステージに戻って来た4人。
この流れだともう歌う曲は無いと思っていた(実際やる予定ではなかったみたい)けど、最後にもう一度「wish」が歌われて本当に終わってしまった。
生のトランペットの響きが、いつまでも頭から離れなかった。
結成してもうすぐ3年。
自分が初めてnuanceを見てから2年。
ワンマンを重ねるごとに力強く逞しくなっていく4人の姿。
まだまだ勢いは衰えないどころか、更に加速していきそうな感じ。
ここが到達点というよりも、余裕すら感じてしまったのは気のせいではないと思う。
ミニアルバムのリリースとそれに伴うツアーも発表され、まだまだnuanceから目が離せない。
(しかしファイナルのZEPP横浜は日曜の夜なんだよな、どうしようか。仕事休もうか。)
【まだまだ進むよう💨】
— nuance_official (@nuance_official) 2020年3月11日
昨日のO-EASTでも発表されましたが、6月に6th minialbum 『brownie』リリースからの、ワンマンツアーがドドンっ💥そして、ツアーファイナルは大凱旋祭の《KT ZeppYokohama》にて開催😚Zeppのチケットのみonline storeにて大先行販売中❗️ついてきて#ヌュアンス #ヌュ #nuance pic.twitter.com/6CN0rtOrPL
このワンマンから4日後の3月14日から20日まで、コロナウィルスの影響によりO-EASTを含むOグループのライブハウスが営業休止することになった。
言ってみればギリギリのタイミングで出来たわけだけど、こんな所もnuanceは「もってるな」と思う。*1
-SET LIST-
M0 入ってるってば2
M1 wish
M2 tomodachi
M3 byebye
M4 cosmo
M5 ハーバームーン
M6 ヒューマナイズド・ヒューマノイド
M7 which 's witch(1回目)
M8 which 's witch(2回目)
〜Interlude〜
M9 Love chocolate?
M10 セツナシンドローム
M11ナナイロナミダ
M12 sanzan
M13 ピオニー
M14 I know power
M15 ミライサーカス
M16 タイムマジックロンリー
M17 雨粒
M18 tsukeru(kesu)
(MC)
M19 きっといつか
(記念撮影からの告知)
EN wish 1:46:32
これ、いつまで公開されているのかはわかりませんが、貼っておきます。
(後日譚)
この2日後、一瞬しかないのライブに行った。
めいちゃんと、当然この日の話になった。
「誰が推しなんですか?」と聞かれたからミサキサンと答えたら、「私もミサキサンの声が好きなんです」との事でした(わかる)。
さらに数日後、一瞬しかない初のワンマンライブが、5月9日に浅草花劇場にて行われる事が告知された。
*1:この状況下でライブを行う事には賛否あると思う。自分は、行きたいライブが開催されるのであれば、無理のない範囲で出来るだけ足を運びたいという立場。