まさに完璧な夜。
民謡クルセイダーズがゲストと発表された時点で最高になる予感しかなかったのだけど、最高を上回る興奮に包まれたお祭りだった。
チケットはソールドアウトで会場は満杯、開演前から熱気に包まれている。
そんな中、先攻の民謡クルセイダーズが登場、「佐渡おけさ」からスタートする。斎太郎節、ソーラン節、会津磐梯山など、日本人なら誰でも知っている曲が、誰も聞いたことのないようなアレンジで演奏される。
民謡をアップデートするという試み自体は新しいものではないと思うけれども、ここまで徹底して振り切った所がすごい。
フレディ塚本さんの歌にラテンのビート。3本の管楽器が気持ち良い。民謡やラテンといっても、変拍子はほとんど無くてダンスミュージックに特化している。だから誰でも楽しめるのかな。音楽的にもエンタメ的にも最高。
初めて見たという人も多かったようだけど、そこは流石にソウルフラワーのファン、会場が一体となってすごい盛り上がりだった。
最後は炭坑節。
「どっこいしょ」「えんやとっと」「いやさっさー」
こんなに声を出したライヴも久しぶりだった。
民謡クルセイダーズを見るのは3回目だったけど今回が最高だった。前回見た時(2022年横須賀芸術劇場での東京キューバンボーイズとの対バン)は着席だったから尚更そう思うのかもしれない。これは絶対スタンディングで見るべきだね。
すでにお腹いっぱいな気分だけど本番はこれから。
ソウル・フラワー・ユニオンはちょうど1年前に同じ会場で見ているけど、その時とは場内の熱量が大違い。
骨太なリズム隊(ドラムの人とか怖そうだし)に高木完のギターと奥野真哉のキーボード。
冒頭に「ハピタブル・ゾーン」をやった後にサラッとスタイル・カウンシルの「Mick’s Blessings」*1。奥野さんの弾むピアノが良い。
新曲「川から海まで~Free Gaza」では、リクルマイが「Free Gaza」と書かれた紙を掲げる。
ライブの前半、シェウン・マガウワン追悼でポーグスの「A Pair of Brown Eyes」からの、伊丹英子さんが登場しての「満月の夕」。こんなのやられたら泣いちゃうでしょ。伊丹さん、やっぱり存在感がある。
この曲を歌う前に中川さん。
「伊丹英子がアイルランドでシェウンに会うといつもぐでんぐでんだったと言っていてしょうもない人なんたけど、ほんま良い曲書くんやね。それは、アイルランドのじいさん達もみんな口をそろえて言っているんや。」*2
後半に入り、ライブはどんどん熱量を増していく。老若男女、熱心なファンが多い。みんな踊ったり手を上げたり、思い思いに楽しんでいる。
曲間に「今日はありがとね」と何度も繰り返す中川さん。奥野さんとのやり取りも楽しい。
「Minyo Against Racism」のTシャツを着た中川さんだけど、ライブ中に特にメッセージを発する事はない。でも、ここにいる人たちはわかっているのだと思いたい。
「『平和をつくっていこう』とか『原発のことをちゃんと考えよう』とか、そんなことを言うのが『政治的』だとは、どうしても思えないのよね。」*3とか、「虐殺や侵略にちゃんと普通に怒ろう、ということ。いじめでもなんでも、傍観者の罪は大きいよ」*4といった中川さんの言葉に心から共感する。
言葉だけではなく、行動が伴うのが中川さんの凄いところ。
じゃあ自分はどうなのか?と問いかけざるを得ない。
アンコールでは民謡クルセイダーズとのセッションを繰り広げる。「秋田音頭」に「海行かば〜」、頭がおかしくなるほど楽しかった。
世界が平和でありますように。
■エエジャナイカ(2023年12月のライブ映像)
セトリは公式Twitterを参照してください。
https://x.com/soulflowerunion/status/1769998979713081523