2019年1月1日、平成最後の元日。
実家で新年のお祝いをして飲んで、府中で初詣をして正月から営業している磯吉へ顔を出して飲んで帰宅したら・・・
あれ、部屋の明かりがついている。
なんだろう、この既視感は。
まさか、またあいつが、あいつが来たんじゃないだろうな。
※前回の出来事
https://charanpochiiboo.hatenablog.com/entry/2018/09/20/204207
※前々回の出来事
時をかけるチーボーinspired by夏への扉 | mixiユーザー(id:24615039)の日記
「あけましておめでとう」
そいつは、ソファーにもたれてnuanceのDVDを見ていた。
「いつから来た?何しに来た?」
「そんな言い方しなくていいだろう。一人で寂しがってるんじゃないかと思ってさ。この前と同じ、40年前からさ。」
「また深町に頼んだのか」
「いや、あれからトレーニングを積んだら、自分でタイムトラベルをできるようになったんだ。」
「それにしても来すぎだろ。それに、そんな事やっている場合じゃないだろ。受験勉強しろよ。」
「だってさ、ちょうど『今日はどこの時代に行こうかな』って思ってたら、40年後の俺がぞっこんだというニュアンスの新曲が『タイムマジックロンリー』だって聞いてさ、これはもう自分への私信だろうと。」
「それはない。それに、ニュじゃなくてヌュな。まったく、そういうところ詰めが甘いんだよ。」
「(しまった)」
「それに、私信てなんだよ。そんな言葉ばっかり覚えやがって。」
文句を言いながらも、何となくあいつのペースに乗せられているような気がする。
「それにしてもさ、これがヌュアンスなのか。いいなあ、ライブ行きたいなあ。」
「そうだろ、わかるか?」
「#わかる」
「これはな、去年の6月のワンマンだけど、ここからまた成長して今ではさらに見違えるようになっているんだぞ」
「なるほどな、それでフィロソフィーのダンスから乗り換えたわけだ。軽いというか、節操がないというか、未来の自分の事ながら嫌になるなあ。」
「いや、そんなことはない。おとはすは神、だとあれほど言っているではないか。それにな、常に心をオープンにしてだな、新しいものに興味を持つということは大切なんだぞ。」
自分は、何をムキになっているのだろう。
突然、あいつが聞いてきた。
「おい、いま幸せか?」
「なんだよ、唐突に」
「いや、何となく。」
「今年は自分にとって大きな転機の年だしな、ワクワクしてるよ。」
「そうか。寂しくはない?」
「ない。まあ、全くないといえば嘘になるけどな。」
「ふうん。俺もそうなるのかな?」
「それはわからないよ。自分にも、もしかしたら違う世界線があったかもしれない。あの時、こうしてたらと思うことはそりゃ山ほどあるさ。でも、そんな事言っても始まらないし、結局自分で選択してきた結果だし。」
「自分次第、か。」
「だから、お前も本当に好きな事をやったほうがいいと思うよ。それで未来が変わったら、それはそれでよし。」
「適当だな」
「ヌュアンスだって歌っているだろ。『美意識で変えてけ 自分の世界を』って。」
「はいはい、今度来た時にはどんなアイドルさんにはまっていることやら。」
「そんな事は・・・いや、それは言わないでくれ。」
いつの間にか、日付が変わりそうな時間になっていた。
「それじゃあ帰るよ。この前よりも元気そうで安心した。」
「ありがとうな、来てくれて」
「あれ、そんな事言われると調子狂うじゃないか。」
「頑張れよ」
「ああ、今度は1946年のあのひとに会いに行こうかな。」
「おいおい、それは違うだろ。」
everybody say wo!