チーボーのブログ

主にライブに行った記録(まちだガールズ・クワイア、NaNoMoRaL、THE ORGANICS、クレイビットなど)

LPを片っ端から聞いてみた7.ザ・バンド②

 アナログプレーヤーを購入したので、家にあるLPをアルファベット順に聞き直してみる企画。第6回目は前回に続いてザ・バンドを取り上げます。

 

ザ・バンド/カフー

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彼らの4枚目のアルバム。

名盤ぞろいのザ・バンドのアルバムの中では比較的評価の低いアルバムだと思うのですが、今回聞き直してみて色々な発見もあり、めちゃめちゃ好きになりました。

 

冒頭はこの曲。アラン・トゥーサンのアレンジによるホーンを加えた彼らの代表曲でもありますね。

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続くのが、ボブ・ディラン作のこの曲。

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アコーディオンマンドリンの音が響くこの曲が昔から大好きなのですが、今聞いてみてもとにかく不思議。アメリカのマウンテンミュージックのようにも聞こえるし、マルチニックあたりの海の香りも漂ってくる。「Life Is A Carnival」のニューオリンズから船でカリブ海へ出航したみたいにも感じます。これ、ザ・バンドの中でも一番好きですね、私は。

 

そして、どこへ行くのかと思えば、「Where Do We Go From Here?」(ここからどこへ)。このあたり、当時のバンドの迷いのようなものも感じられる気がします。ガース・ハドソンのあのオルガンの音が、いつになく不穏に響きます。

 

「4% Pantmime」では、ゲストに迎えたヴァン・モリソンの、坂道をつっかえながら駆け降りるような歌唱が素晴らしい。それにつられてか、リチャード・マニュエルも力のこもった歌を聞かせてくれます。

 

そしてB面。

1曲目の「Shoot Out In Chinatown」は、イントロがちょっとチャイナ風な小品。

2曲目の「The Moon Struck One」は、月に導かれて森の中に迷い込んでしまったような不思議な曲。歌詞を読むと、ますますわけがわからなくなる。これは何かの寓話なのだろうか?

この曲名、月が打たれるって何だろう?このOneは何?1時って事なのか、それとも何かを指しているのか。「moonstruck」には、「狂気じみた」という意味もあるようだけど、それも引っかけているのか?

この文章の最後に、拙訳を載せてみましたが、ここ本当に何て訳せばいいのでしょうね。

リチャード・マニュエルの穏やかな歌声が、かえってホラーを聞かされているかのような、心落ち着かないような気持ちにさせられてしまう。

きっとディランからの影響も大きいのだと思うけれども、誰か作詞家としてのロビー・ロバートソンについて解説してほしい。

 

B面の後半「Smoke Signal」や「Volcano」での、開き直ったような荒々しい演奏(ザ・バンドにしては)も、面白い。ちょっとぎすぎすした感じを受けるのも、当時のバンドの状況を物語っているのかもしれない。

 

【The Moon Struck One】

ジュリーとリトル・ジョン・テイラーは隣に住んでいた

俺たち3人の絆は固く、それは揺るがないものだった

ジュリーは恋人で、リトル・ジョンは子分だった

どんな野生の馬にだって、俺たち3人の中を引き裂くことなんかできやしなかった

ある晴れた午後の日、俺たちは泳ぎに出かけた

そして「the moon struck one」までに戻ってくると約束した

 

ジュリーが牧草地を駆けてくる 空に向かって叫びながら

彼女はひざまづき、涙が飛び出るほどの勢いで流れている

リトル・ジョンが蛇に噛まれた 向こうの湖畔で

彼はとてもとても傷つき、泥の中に横たわっている

俺たちはあらん限りの速さで走った

でも、「the moon struck one」のように、リトル・ジョンを失った

 

俺の心は空っぽで、ジュリーは羽をもぎ取られた鳥のようだった

俺たちはいつも明日におびえていた

そこで俺たちはここを離れ、ドュランゴへ行くことにした

そうすれば3人だった事も忘れ、一からやり直せるだろう
でも、俺たちがそうしようとする前に車は故障した

俺たちは「the moon struck one」の間に、歩いて家へ帰った。

 

次回、もう一度だけザ・バンドにお付き合いいただきます。