整理番号は300番台。それでもここキネマ俱楽部のステージは高くて見やすいから問題ない。
狭いエレベーターに乗って入場すると、ステージ中央に大きなリングがぶら下がり、下手側にはカーテンのような布が垂れ下がっている。そう、これは長谷川愛実さんがエアリアルで使うもの。これを見た時点で、ライヴへの期待で高まる胸の鼓動。
ランタンサーカスを従えたチャラン・ポ・ランタンのライヴが、特別なものにならないわけがない。
10年前の5月、ここキネマにて同じ編成*1で行われたライヴに来られなかった自分にとっては、願ってもないリベンジの機会でもある。
チケットはソールドアウトとの事だけど、後ろはそこそこ余裕がある。若い人や女性の姿が多い。と思いきや、昔からよく見る顔もちらほら。
小春がMCで「周年だとソールドアウトになるんだよね。これからはライヴにはみんな周年をつけようか」なんて言っていた。
セトリは忘れたしメモも取っていない。
とにかく最高のライヴだった。
8月に姉妹で立った舞台「くるみ割り人形外伝」を駆け足で再現したところは、まるでミュージカルを見ているようだった。
https://www.kaat.jp/public_kanagawa-arts.or.jp/event_pdf/flyer_kurumi.pdf
「あの子のジンタ」の時に愛実さんが出てきて、リングにひょいっと手をかけてするすると登っていく。
えっ、まって?どうやって登ったの?あんなに高い所に当たり前のように軽々と。
曲の真ん中あたりの5拍子に合わせてリングがぐるぐる回る。
インストナンバー「マジシャン」ではコッペリア・サーカスによる妖艶なバーレスクダンスに目を奪われる。
アコーデイオンを置いた小春とももが並んでラップを繰り広げる「輸入コンテナデスパッチ」*2で、小さなアコーデイオンを真剣に弾くオカピが、普段の豪快にサックスを吹く姿と対象的でかわいかった。(←普段が可愛くないという意味ではありません)。
終盤で歌われた「人生はパレード」は、11年前よりも大きく深く胸に刺さってきた。まさかこの曲を聞けるとは思わなかった。
そして、インストの「Gardinia」では、小春のアコーディオンと愛実さんのエアリアル・シルク(吊り下げた布を使う演技)が美しく絡み合う光景に目が釘付けになる。
こんなもの見せられたらため息しか出ない。
どんなものかと言うとこんなものです。
これを見て以来、この曲を聞くと条件反射的に涙が出てきてしまう。
「今が楽しい」
小春がMCでそう言った。
「エイベックスは嫌いだとか昔の曲の方が良かったとか色々言われた」
「こういう生き方してると敵も増えて大変だけど」
でもその分味方も多いのだと思うよ。
独立して好きな事をやっているように見える今のチャランポ、とても良いと思います。
終盤の「ムスタファ」では出演者が勢ぞろいの大饗宴。愛実さんもするするとクロスを登っていく。
「今や彼女は60歳 ムスタファも60歳」って言うけど、自分はとっくにムスタファの歳を超えてしまった事に気がつく。でも昔と違って60歳なんてまだまだだよね。
アンコール(といってもステージからはけないのがチャランポ流)の「ハバナギラ」が、歌も演奏もお客さんのノリも最高でめちゃくちゃ楽しかった。
動と静。感動と熱狂。
まだまだ忘れてしまった事、書き足りないことがたくさんあると思うのですが、現時点で自分が見た中でのベストライブだと断言しておきます。